ブリスヴィラ歳時記 弥生 -山里の春-
- 2016.03.11
- ブリスヴィラ歳時記
ブリスヴィラで、うぐいすの初鳴きが聞かれたのは、3月に入って間もない霞たなびく早朝のことでした。
レストランには、厨房のお母さんが用意した昭和のお内裏様とお雛様が飾られ、菜の花が添えられました。
それに加えて、今、山里の生命力溢れる木々が、ホテルのエントランスを彩っています。
地元のスタッフは、事もなげに「梅ば(を)とってきたよ」と、人の背丈もあるような大きな枝を、山から切り出してきてくれます。
大きな梅の枝は、スタッフのご主人が、山から見繕って取ってきて下さったもの。
ご主人は、梅の枝をトラックの荷台に載せて、ブリスヴィラに到着すると、奥さんであるスタッフと手際よくエントランスの鉢に入れ替え、さっさと帰って行かれました。
厨房のお母さんは、紐とハサミを使って、枝を切りそろえ、エントランスには、野趣溢れる見事な春の景色が出来上がります。
こんなにいいのだろうか・・という申し訳なさも束の間、白梅の勢いある華やかさに魅せられ、紅梅の紅に気持ちが和み、見とれる事しばし・・
自然と共生し育った人々の自然との関わりは、実に大胆で、おおらかです。
ためらう事もなく、まるで、幼子が山で宝物を見つけたように、ニコニコしながら立派な枝を切り出してきてくれます。
きっとそこには、自分たちが築いてきた自然との暗黙のルールというものがあるからこそ、できる事だと思えます。
多くの人々の心を和ませ、喜びを与えるエントランスに飾られる春の木々・・
目には見えない大きなお役目を担っていると自負しているのは、切り出されて来た木々自身なのかもしれません・・
2016.3.11 ロビーマネージャー 中西 智子
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