Bliss Villa 波佐見 紀行 如月

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Bliss Villaが建つその地を初めて訪れたのは、立春が過ぎた頃でした。
霙混じりのお天気は、身も凍るような風が吹き付けるものの、大地の香りは、どこかしら、湿り気を帯びた柔らかさを感じさせるものでした。
それもその筈、翌日には雨水を迎え、草木の芽生えが始まる頃でしたから・・・

 波佐見は、長崎の北東に位置し、佐賀との県境にあります。陶磁器で有名な街であり、最近は若い陶芸家の活躍で、スタイリッシュな器が生み出されています。
大村で車に乗換え、一路波佐見へ。穏やかな大村湾を左手に見ながら北上していき、川棚で海から離れ、山の方へ向かいます。
私は 長崎県人でありながら、波佐見を訪れるのは初めてでした。
行きかう人と車は、数えるほどしかないものの、手入れが行き届いた田畑は、確かに人の暮らしがそこにある事を感じさせてくれます。
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 そして建設予定地へ・・・
広い田んぼが続く中、その一角には建物や車があり、人が集う場所でした。
美しい田園風景の中に小奇麗な新しい住宅が見えます。

「このあたりが玄関になり、その奥が二棟の客室が建ち・・」説明を受けながら、木造二階建てのビジネスホテルBliss Villaの姿に思いを馳せます。

 その日、設計士の先生をお呼びして、建築資材の打ち合わせが行われました。
Bliss Villaのオフィスは、向いのアパートの二階の一室にあります。
ミー ティングでは、主に建物の外観の色目を中心に話が進みました。コンセプトに馴染む色目、波佐見焼の生かし方等、窓の外に点在する住宅の色を参考にしなが ら、一つ一つ丁寧に吟味されていきます。話に参加しながらも、私の気をひいたのは、窓のすぐ外に咲く満開の白梅でした・・・

 設計士の先生を囲んで五人のスタッフがそれぞれの立場で質問や意見を交わし、まだ形にならないBliss Villaが組み立てられていきます。まるで、積み木を組み立てるように・・目には見えませんが、その一つ一つの積み木には、春の色をした愛情が滲み出ているようにも感じられました・・・

波佐見にも、Bliss Villaにも、春はすぐそこまで訪れています・・・

2014.2.18 ロビーマネージャー 中西