ブリスヴィラ歳時記　－年の暮れ－

クリスマスが過ぎると、お正月の飾りつけまで、あっという間でした。
その準備は、誰からともなく始められ、山から切り出してきた背丈もある竹や南天、梅、松が、ホテルのエントランスを彩りました。
その花材のワイルドな事！
民家の軒先で見つけた、大きな壺を拝借して、花材を入れると、風格も出て、波佐見ならではの、ダイナミックな迎え花となりました。

11月から色々な行事に追われて、息をつく間もなく年の暮れを迎えた感があります。
お正月の準備をするにつれ、ようやく、新年をむかえるのだという実感が湧いてきました。
無意識のうちに口をついて出る言葉は、「今年が無事終えられそうで良かった・・」
ということ。支配人からは「今年はまだ終わっとらんですよ」と笑いながら言われるのですが、何度もそのような思いにとらわれました。

12月31日の仕事を終え自宅に戻った時、大きく真っ赤な夕日が、二つ岳に沈んでいくのが見えました。辺り一面を赤く美しく染めながら・・
あまりの美しさにしばし見とれていると、心に迫りくるものがあり、目頭が熱くなりました。
そして大いなる安堵感が、心を満たして行きました・・

この美しい夕日は、今年のブリスヴィラの象徴であったようにも思われます。
この一年、皆、それぞれの持ち場で懸命に励んだ、そのエネルギーの塊のように見えました・・

1年前「来年の今頃はどうしているのだろう・・」と、想像もつかなかった今の姿ですが、スタッフの努力が実を結んでいくのを感じています。

波佐見の静かな年の暮れ・・明日は元旦。
着物の帯は、袋帯を準備しながらも、心はいつも通り、平常心で備えたいと思います。

2015.12.31　ロビーマネージャー　中西　智子