Bliss Villa 波佐見紀行 神無月 その4 火を起こす人々
- 2014.10.15
- ブリスヴィラ歳時記
広々とした田んぼと大豆畑の中に、立派な屋根で大事におおわれた窯跡は、日本の磁器誕生の頃の窯と伺いました。
手入れが行き届いた畑と芝生は、この景色を目にしているだけで心が洗われます・・
そこで先日、火入れがあると聞き、同僚と伺った次第。
その日、畑ノ原訪れた時には、既にジャージを着た学生さんや保護者の方々、先生方が何かを囲んで歓声を上げていました。
足早に近づきます・・
びっくりしたのは、そこで中学生が火を起こしていました。
先生たちが周りについて、みんなで「頑張れ!頑張れ!」と掛け声をかけながら一人の男子が摩擦熱で火がつくように、一生懸命に火を起こしています・・
この火を起こす道具は、確か原始人が火を起こすのに使っていた、教科書で見覚えがある道具・・
そのうち少しずつ煙が出てきて、みんなの歓声が上がります。
「ついた!ついた!」
先生がすかさず火種をバケツに移し替えて新聞紙にその火をつけると、炎が上がりました。
学生さん達が稲穂にその炎をつけて二人一組で、窯の中に火を入れます・・
炎が安定すると、大人の方々は柏手を打って、頭を下げていらっしゃいました・・
ほとんど全てのエネルギーが、スイッチ一つで手に入る現代においてなんと貴重な体験でしょうか・・
その昔、火を起こすのはとても大変な事でした・・だからこそ、その火を皆で共用したのが、この登り窯なのだと・・世界一の登り窯跡が存在する波佐見は、人々の結束力という点に於いても、世界一であったと言えるのかもしれません・・
波佐見は、知れば知るほど奥深い土地です・・
2014.10.11 ロビーマネージャー 中西 智子
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